今回の東京は、el tempoの定期公演と散策が目的。夕方に到着し、ライブ会場のSPACE ODDの隣にあるCafe Havana Tokyoにてカールスバーグと3種盛りタコスで小腹をゆるりと満たし、地下にあるライブ会場へと向かいました。地下にあるこの空間の幅は狭いが奥行きがあり天井は高く、壁は煉瓦造りとなっています。音の響きが有機的で面白く、観客に向かう音、上にのぼる音、四方八方に放たれた音が地面と壁を伝いふたたび空中で一つになっておりてくるような印象を受けました。音の響きも柔らかく、 馬力のある重低音まで包み込んでしまうようなところがあるようなところです。以前より照明の数が増えたのかなと思ったのですが、森に差し込む光の集まりのような光量で絶妙でした。お隣にいらっしゃったお客さんと「推し」の話をさせていただいた中で、推しのどこが好き?という話になり私は即答できなかったのですが、声とか人柄とか、センスとかかなぁとも思ったのですが、たぶん単純に、存在そのものが好きなのだなぁというところで落ち着きました。
ライブ終了後は恵比寿から山手線で浅草へ。今回は、Hotel + Hostelという宿に宿泊。金曜の宿としてはお手頃価格で、駅からは徒歩5分ほど、浅草小学校のすぐ近くということで、安全面も大丈夫だろうということでこちらにしました。大浴場もあり、備え付けのシャンプー・リンス・ボディソープがあり、パジャマとスリッパは150円でレンタルしました。ドミトリーは奥に長細く空間としてはやや狭いと思いましたが、工夫を凝らした木造りのおかげで、さほどの圧迫を感じることもなく、身体も十分休まりました。交流を楽しむところという雰囲気が大切にされていて、スタッフの方からも温かみのある印象を受けました。
翌朝は浅草を散策。隅田川のほとりをゆっくり歩き、ランニングや散歩をする人や撮影をする人、水鳥の鳴き声、電車がゴトンゴトンとゆっくり橋を渡ってゆく様子、水面に揺れる街と空の光をのんびり堪能させていただきました。宿泊先も街中も国際色豊かで、新鮮でした。浅草寺の傍で出会った老舗のお団子屋さんには、素焼きせんべいが並べてあり、これにしようかなぁと見ながら声をかけると、「おせんべい?」と店員さんが答えてくれて、2枚100円のおせんべいを店の前のベンチに座っていただ来ました。なんだか懐かしい感じを受け、温かみのある笑顔に癒されました。その後駅に向かって歩いていたら、店頭に並んでいたとろろ昆布の袋が目に入り、お店に入ったら、店員さんがお出汁をカップに注いでくださり、生き返る思いでした。店長おすすめの昆布と椎茸の佃煮をお土産に購入。
浅草から東京メトロ銀座線で銀座へと移動。駅の案内所の方に銀座桜通りへむかう出口をお聞きして富士フォトギャラリー銀座へと向かいました。ちょうど四丁目あたりから一丁目へと歩き11時の鐘を聴きながらのウインドーショッピングを楽しみつつ到着。ちょうどJPS展の展示が開催中で、受付の方がJPS会員のブルース・オズボーンさんの写真展のことを教えてくださり、そちらの写真展も拝見しにその後は丸の内へと向かいました。有楽町方面へと向かい、横断歩道を渡り帝国劇場を通り過ぎて角を曲がって見えてきたのは東京會舘。そのビルの5階に展示されているということだったので、エレベーターに乗り込み5階を押したのですが、反応なし。仕方がないので階段で5階まで登ったら、シャッターが降りていて今日はお休みなのかなぁとまた一階へ。屋内には珍しくピンクがかった石の階段に踊り場の隅がカーブしている建物の構造はここに訪れる人や働く人への配慮なのかなぁと思いつつ、案内受付に立っておられた警備員さんに写真展のことをお聞きすると、地下に行くと専用のエレベーターがあるとのこと。一体ここがどのような場所なのかということもよくわからないままようやく辿り着いて拝見した写真の数々は、どれも人や自然との交流やつながり、被写体との響き合いを感じさせてくれるようなものばかりで、受け取る側に余白を与えてくれるような作品ばかりでした。
お昼は泰明庵へ。SNSでフォローしていた方の投稿で知り、行ってみたいと思っていたお店。お店入り口の傍には、青い自転車と青々とした鉢植えの木。13時に差し掛かる頃に着いたのですが、一階席は満席ということで2階席へ。基本相席なのだそうで、なんだか再び懐かしい感じ。壁いっぱいに並ぶお品書きに圧倒され、おすすめは?と、店員さんにお聞きして注文。私の様子を察してくださり、「せり蕎麦がありますよ」と、かしわの入ったせり蕎麦をいただくことにしました。「せり」というのは春の七草の一つ。春の七草と秋の七草は幼少の頃に母が教えてくれて覚えていたのですが、実物を味わうのは初めてだったかもしれません。期間限定とお聞きしていたので間に合ってよかったと、お向かいさんのカレー蕎麦の美味しそうな香りと共に待っていたら、想像以上のボリュームでせり蕎麦が現れました。お蕎麦の茹で具合が硬めだなと思ったものの、せりをいただいているうちに、ちょうどいい感じに。葉・茎・根を余すところなくいただきました。根も食べるの?と一瞬躊躇しましたが、以前読んだことのある人参の本と玄米の本に、野菜も魚も丸ごといただくことが大切と書いてあったなぁと思い出し、根の部分を一口。やはり食べ物から「いのち」をいただいているのだなぁと、青空のもと風にそよいでいるせりの様子が心に浮かぶようでした。せりはビタミン豊富ということで、いただいているうちに整う感じがしました。おつゆまでいただきたかったのですが、お腹いっぱいでごちそうさま。それにしても、こんなに心地のいい相席は初めてだったかもしれません。11時から15時の営業で満席で回っているのにも関わらず、連絡用のインターホンから聴こえてくる調理場の音や店員さんの声かけすべてが和やかでした。
その後、代官山へと向かい旧朝倉家住宅に。2022年の9月に初めて訪れ、3回目の訪問。杉を大胆に使った床の間や折り上げ天井の洋室、働く人のための通路と中庭、起伏のある庭園など特別豪華なものがあるとかではないのですが、自然と調和の取れた感じがとても好きで、来てしまいます。紅葉の季節はとても綺麗な景色が見れるそうですが、今の季節はシャガが咲いていたり、5月になるとツツジ、6月は紫陽花がそんなに多くはないけれど咲いているとのことでした。
今回の旅では、飾らないやさしさと真心に触れる体験をさせていただいたように思います。この旅の撮影はmoto g24で全てオート撮影しています。GFXもノートPCも持っていかなかったので、本当に身軽な旅でした。おかげでよく歩け、寄り道もたくさんして、目には見えないつながりを感じた旅でもありました。2025年の予定は特にないので、またしばらく日々の生活に心を向けたいと思います。楽しい旅をありがとうございました。
旅の思い出に感謝