音節(syllable)というのは、「音の節」と書くように、言葉を音にした時の節目だと思っている。音節の数は、日本語でも英語でも、実際に発音した時の言葉に含まれる母音(あ・い・う・え・お/a, i, u, e, o)を数えると何音節かわかる。「ミルクティー」を例にすると、日本語では5音節となるがこれが英語では、2音節となる。
日本語も英語も上手に切り替えて話す人もいると思うが、母語または一番多く使用する言語に傾くのが自然だと思う。私の場合は、母語の日本語が軸にはあるけれど、環境とコミュニケーションをとる対象の雰囲気で切り替わっているのかもしれないなと今回の体験でそう思った。ということで、日本のスタバにて注文をした時のことを共有してみることにする。
読書をしに久々にスタバへ。自宅を愛する者としては稀だが、今日はいつもと違う場所でいつもと同じことをしたくなってしまった。ということで、散歩がてら歩いて向かうことに。通り道から畑や生垣の花々の様子を観察しつつ、すれ違う人と挨拶を交わす。茶梅や椿は満開、紅白の梅もふっくら咲きこぼれていた。この陽気な日に、私はニットのセーターを着た上にダウンジャケットを着てきてしまった。歩けば身体は温まるということを計算に入れるのを忘れ、着く頃にはしっかり汗ばんでいた。隣の本屋さんの気になる棚を一巡。そして、スタバに到着。
スタバの豊富なメニューから目当てのものを見つけるのは至難の業なので、いつも店員さんに訊いてしまう。この日は密かにミントティーとかカモミールといったハーブティーにしようと思っていたので、「ハーブティー」はありますか?と尋ねると、ハーブティーはないけれと、お茶ならこれだけありますと、メニューからお茶の欄を探してくださった。「あ、カモミールある〜」と思ったけれど、「ティーラテはこちらからお選びいただけます」と聞こえた途端、やっぱりミルクティーを頼んでしまった。アールグレイにしようと思ったけれど、アッサムティーがいいなと探したら、「イングリッシュ・ブレックファスト」とティーラテにはピッタリだと思えるような紅茶を見つけた。
英語なら"English Breakfast (Eng-lish break-fast)"と、4音節のこの言葉は日本語だと13か14音節くらいになるだろうか?長いなぁと思いつつ、日本語を喋る時は日本語の発音でというこだわりというかチャレンジ精神が出てきて、日本語の発音でがんばってみた。だがしかし、難しかった。ヨタヨタとつまずきながら最後の「ト」まで言い切った。心の中でささやかなハイタッチを交わした矢先、ミルクは豆乳にしてほしいと思い豆乳と言おうとして出てきた言葉は「ソイ......」つまずきかけたものの、即座に「豆乳はありますか?」とつづけ店員さんの自然なフォローに救われた。価格が上がったかなと思ったけれど、マグに淹れてくれて豆乳にしても同じ価格というところもありがたかった。ワクワクとドキドキが交錯する注文のひとときだった。
帰り道、行きに挨拶を交わした白髪の紳士とまた出会った。私はカフェで読書。その方は、山登りへ行かれたそうだ。心も体も温まったご様子。清々しい笑顔が印象的だった。再会を喜び、「またお会いできますように」と、それぞれの帰路についた。
日常の中の非日常。